包丁あれこれ
時効割れについて
時効割れについて
金属の特性が時間とともに変化することを時効といいます。焼入れした鋼は時間とともに安定した状態に戻ろうとします。安定した状態にもどる時に、歪(ひずみ)を生じて亀裂が入り割れ(折れ)が発生することを時効割れといいます。
鋼は焼入れによって金属組織がオーステナイト組織からマルテンサイト組織に変わります。しかし、100%マルテンサイトにかわるのではなく少量のオーステナイト組織が残ります。これを残留オーステナイトとよびます。この残留オーステナイトが時間の経過とともに分解するため、応力分布が不均衡(ふきんこう)になり亀裂が発生しやすくなります。
この時効割れを防ぐ方法として、鋼材に適した焼入れ,焼き戻しを行うとともに、サブゼロ処理(焼入れ後に‐73℃以下に冷却する処理)を行うことが有効とされています。
鋼の特性上、包丁は100%折れないということは言い切れません。ヒビ等が確認できる場合は、使用しないでください。